INTERVIEW

東京と都民の暮らしを守る東京消防庁には、多くの女性消防官が多彩なフィールドで活躍しています。
女性ならではの感性や経験を活かしながら業務に励む女性職員にそれぞれの入庁動機や日々のやりがい、そして今後の目標について語っていただきました。

INTERVIEW01

デイタイム救急隊

消防署 デイタイム救急隊
平成20年入庁 栃木県出身

TOPICS01

大学時代にスポーツ医学を専攻し、国家資格である救急救命士を取得しました。救急救命士の知識を活かした仕事に就きたいという想いから、消防官を志しました。その中でも東京消防庁は、世界最大の規模を持つ消防組織であり、東京都で暮らす約1400万人もの方々の安全を守るという使命の大きさに魅力を感じました。入庁後は救急隊や予防課で勤務し、それぞれ役割は異なりますが都民の安全を守るために活動してきました。

TOPICS02

令和元年5月に、私が所属するデイタイム救急隊が発隊しました。デイタイム救急隊は、東京消防庁の女性職員の活躍推進と、資格技術の有効活用をコンセプトに誕生した救急隊です。通常の救急隊は交替制勤務となりますが、育児や介護をしている職員は、24時間勤務で働くことが難しくなります。これまでは救急技術及び救急救命士の資格を持っていたとしても、異なる分野で仕事をするしか選択肢がありませんでした。そこで、取得した資格を活かすとともに子育てや介護と両立したいという職員のために、毎日勤務に対応した時間で運用できるのがデイタイム救急隊です。東京消防庁の働き方改革の一つとして注目を集めています。

TOPICS03

以前から、子育てが落ち着いたら救急隊に乗務したいと考えていました。そこで、日中だけ救急隊として乗務ができないか上司に相談した際、デイタイム救急隊が発隊することを知り、志願しました。現在は、女性隊員5名と男性隊員2名で活動しています。隊員全員がプライベートでは子育てや介護などを抱えていますが、「ON」と「OFF」の切り替えを上手に行いながら、都民の方々の命を守るために活動しています。

TOPICS04

デイタイム救急隊で活動する前までは、女性の隊員だけでは傷病者をストレッチャーに乗せる時など、体力面から不安を与えるかもしれないと考えていました。しかし、女性の傷病者の方からは「女性の隊員が多くて安心しました」という声をいただくことが多く、そんな声をいただくたびに嬉しく感じています。デイタイム救急隊ではローテーションによって、女性の隊員だけで出場することもあり、女性ならではの安心感を与えられるのもデイタイム救急隊の特徴の一つです。

TOPICS05

子育てをしていると、子どもの急な発熱などで出勤できないことや、早退しなければいけないこともあります。隊員同士、子育てや介護をしていることから、困っていることがあればお互いにカバーし合いながら仕事をしており、自然にチームワークが生まれています。また、子育てについての情報共有や相談もできるので、本当に心強い仲間ができたと感謝しています。

INTERVIEW02

特別操作機関員

消防署 特別操作機関員
平成22年入庁 関西地方出身

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学生時代から車やバイクの運転が好きで、大型自動車と大型自動二輪の免許を取得。就職は人の役に立つ仕事がしたいと考え、消防官の職務内容を調べたとき、消防車両を運転する機関員という職務があることを知り、興味を持ちました。ただ、地元では消防官の採用自体が狭き門で、女性で警防業務に携わっている例もほとんどありませんでした。自ずと、女性のはしご機関員も活躍している東京消防庁が私の第一希望になりました。

TOPICS02

入庁2年目にポンプ機関員、5年目に特別操作機関員の技術認定を受け、念願のはしご機関員になりました。また機械装備係として車両の不具合や車検の点検整備や車検等工場への入工の管理も私の担当業務です。実務に少しでも活かしたいと思い、自主的に自動車整備士の資格も取得しました。現在、技術面でも事務面でも車両に関わる希望通りの職務に就けているのは嬉しいです。

TOPICS03

はしご機関員は、高層ビルでの消火や救助の現場でバスケットに仲間の隊員を乗せ、安全かつ的確な位置にはしごを操作する技術が必要です。また、1秒でも早く現場に駆けつけ、水利を確保して、隊員の待つホースに水を送り出すことができるよう自分で地図を作って準備する警防調査も欠かせません。さらに機関員は仲間の命やその家族の幸せまで預かる仕事であるため、訓練も含め運転や操作は安全第一でなければなりません。緊張感を持ち、いつも真剣勝負です。

TOPICS04

体力面では男性隊員に敵わない部分も多く、自分の不甲斐なさに落ち込むこともありました。でも機関員は技術と警防業務の面から十分役に立てる、性差を全く感じない分野です。将来は、自分の得意分野を伸ばして、どんな特殊車両にも対応できる技術と経験を磨き、機関員のスペシャリストとして認められることが目標です。後輩の指導にも携わり、女性吏員の先輩達が作ってくれた道を私もしっかり引き継いでいきたいです。

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指揮隊伝令

消防署 指揮隊伝令
平成28年入庁 奈良県出身

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学生の頃、アルバイト中にお客様が倒れてしまったことがありました。その時に駆けつけた救急隊の迅速な対応を間近で見たことをきっかけに、「人の命を助ける仕事」に憧れ、消防官を目指すようになりました。消防学校学生のときに、総合指令室を見学する機会がありました。次々と入る119番通報に対して冷静に状況を聞き取り、的確な出場指令を行う指令室員の姿を見て、非常に感銘を受けました。その後、ポンプ隊員の経験を経て、総合指令室との仕事にも通じる指揮隊の伝令として部隊の活動を支えています。

TOPICS02

担当する指揮隊の伝令の役割は、災害現場の状況を的確に把握、収集した情報を整理し、大隊長の補佐及び命令の伝達を行う重要な存在です。火災現場では、燃えている建物の延焼面積の算定や世帯数または人員数の確認などを行い、大隊長が災害時における判断をするための情報を指揮隊の隊員とともにかき集めます。伝令は災害の推移、応援要請などの状況を、総合指令室に報告する指揮隊の通信担当に無線を活用して情報を伝えます。正しい情報を分かりやすくかつリアルに伝えられるよう、日頃から部隊運用の勉強や訓練に励んでいます。

TOPICS03

災害現場では常に状況が変化しており、その状況の中で何よりも大切にしていることが「情報を止めないこと」です。災害現場の状況及び大隊長からの命令を、すぐに指揮隊の通信担当に伝え、総合指令室に情報を発信しています。大隊長は現場の状況を把握して命令を出していますが、命令のために必要な情報を大隊長に伝えることも大切な使命です。また、状況によっては伝令から必要な部隊の要請などを進言し、大隊長の判断を仰ぐこともあります。大隊長の目となり耳となれるように、広い視野を持った対応を心がけています。

TOPICS04

普段は、指揮隊の伝令として勤務をしていますが、救急技術を取得したことから救急隊員として災害に出場することもあります。消防官を目指すきっかけとなった救急隊と同じように自身もなりたいと考え、救急標準課程研修を受講しました。今後は、広い視野と知識を持つ伝令として、また、救急隊員として活躍できるよう日々精進していきたいです。

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総合指令室

警防部 総合指令室
平成15年入庁 東北地方出身

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公務員の事務職を希望していましたが、偶然東京消防庁の募集広告を見て受験したところ合格しました。それから採用ホームページなどであらためて調べたところ、仕事の幅が広く、たくさんの女性が活躍し、結婚や出産を経ても長く働き続けられるといった魅力を知りました。これらはまさに私が働く場として望んでいた環境で、迷うことなく入庁を決めました。

TOPICS02

交替制での指揮隊員や指令室での勤務を経て、長男の出産後からは毎日勤務で多摩指令室に務めています。主な業務は、他の消防本部など防災関係者の視察や意見交換会の対応です。鉄道会社の方が訪れて指令室の実際の活動を視察し、より迅速な事故・災害対応や協力体制について話し合うといったこともあります。また、119番通報が多いときには私自身も指令室員の1人となって通報の受付対応を行っています。

TOPICS03

視察や意見交換会の計画では、先方が何を望んでいるかをよく理解し、指令室の状況もしっかり把握して、より充実した視察になるよう心がけています。現状維持や前例の踏襲ではなく、常に改善や効率化を考えることで、仕事に対するモチベーションが高まり成長にもつながると考えています。また、子供がまだ小さいので急に具合が悪くなって休んだり早退させてもらったりするため、業務に支障をきたさないよう、上司や同僚とは日頃から情報を共有するようにしています。

TOPICS04

先々の目標は大隊長ですが、当面は仕事と子育てのバランスを取りつつ、様々な業務を経験して自分の幅を広げたいと思っています。また、指令室員を務めていると色々な災害に接し、災害対応の全容を知ることができるので、再び現場に出てここで得た知識を活かしたいです。救急隊員として活動した経験もあり、指揮隊員や救急隊員として従事することが目標です。